完璧主義とか真面目を手放せって言われても、、、

概要

・今まで頑張ってきた部分を労わってあげる。真面目、完璧主義は生き抜くための方法だった。
・自分のオリジナリティ、アイデンティティは他にもある。


「完璧主義を手放せ、ねえ、、。」

『どうした、話を聞こうか?』

「悩んでるように見えた?」

『人生に関する悩みを感じた。』

「あんたには何でもお見通しなのな。」

最近、自己啓発系や心理学の本を読んで気づいたことがある。それは、「完璧主義や真面目はやめよう」という内容が少なくないことだ。真面目に人生を送ってきた身としては、受け入れがたいものだった。

素直に捨てられない

『ーなるほど。自分らしく生きられると希望を持っていたのに、完璧主義や真面目をやめろと言われて、自分が否定されたように感じたんだな。』

「そうなんだよ!確かに分かる部分もあるんだ。完璧を目指しすぎていたら結果が遅くなるし、結局出さないこともあるし。でも、なんか納得いかないっていうか…全部をいきなり捨てられないんだよ。」

『なぜか考えを受け入れられない―』

自分でも素直じゃないのは分かってる。何か出さないことには批評も受けられない。何も現実は変わらないってことくらい。でも何だか進めなくて、本当はやりたくないんじゃないか、そう思い詰めてしまうんだよ。


そこにあるもの

「あーあ、さっさとこんな考え、いなくなればいいのにな。変わってくれれば。」

『事実として―』
と続ける。

『原則、〈そこにあるもの〉を否定することはできない。それは感情も同じことだ。例えば、ここにコップがある。』
そう言って、コップを手に取った。
『ちょうど机のスペースを取って邪魔くさい。いなくなってほしいが、〈そこにある〉から存在を認めざるを得ない。念じても消えてくれない。』

「…感情も同じだと?」
無理にこじつけている感じがしたので、反抗気味に言う。

「でも、感情って思考でしょ?“いなくなれ!”って思えば消えてくれそうなもんじゃないの?」

『確かに、そう思いたくもなるよな。でも実際にはどうだ?振り払ったつもりでも、時間が経つとまた戻ってきたりしないか?』

「……うん。忘れたはずなのに、ふとした瞬間にぶり返してきて、また同じ気持ちになるんだ。」

『そうだ。抑えつけようとすると、逆に強くなることもある。だから、無理に追い払うんじゃなくて、“あ、また来たか”って認めてやるんだよ。』

「認めるって、そんな簡単に…」

『難しいよな。でも少しずつでいいんだ。感情だって、労わってやれば、やがて静かになっていく。やさしく撫でてあげるようにな。』


真面目で完璧主義になった背景

『そういえば、なぜそんなに真面目で完璧主義になったんだろうな』

「うーん……過去を振り返ってみるとさ。」

少し言葉を選びながら、口を開く。

「辛い状況の中で、“自分だけはちゃんと頑張ってる”って思い込むことで、なんとか自分を保ってたんだよね。そう思えば、少しは優越感みたいなものもあって、ギリギリ踏ん張れた。」

『なるほどな。頑張ることで、自分の存在を支えてたんだな。』

「それにさ、SNSで誰かがちょっとミスしただけで、ものすごく叩かれるのを見てきて……」

『ああ、間違えることに過敏になったのか。』

「うん。“間違ってはいけない”って思い込みが、もう体に染みついてる感じかな。ちょっとでもミスしそうになると、すごく怖くなるんだ。」

『それなら、真面目になるのも当然。生き残るための戦略だったわけだ。』


長所は他にもある

『改めて、完璧主義や真面目を手放すべきだと思うか訊きたい。』

「実際、変わったほうが良さそうだけど、、、」

『その部分を変えたいのなら変えていい。けれどもし、完璧と真面目を手放してしまったとしても、お前にはまだ良いところがたくさんある。他にもな。』

「そうか?」

『それに、そう簡単には真面目さが抜けないと思うぜ。だからいっぺん不真面目に振り切っても、お前の個性として残るだろうよ。』

そうだ、どれだけ変化しても、根本は変わらない。だから安心して挑戦して、変わってもいい。

「なんかさ、今まで真面目なのがアイデンティティだと思ってて。もし不真面目になったら自分の存在価値が無くなるかもって考えてた。
だけどそうじゃないね。どんだけ世間の荒波に飲まれようとも、変わりようのない自分がいるんだもの。」

カガミは安心して、最後の一言を添える。

『もし挑戦することに疲れたら、いつでも愚痴を聞こう。社会的地位とか財産がなくとも、人間は普遍的に愛される存在であることを忘れるな。』

「んー、まだその考えはインストールできてないかも」

『これからゆっくり教えていくさ』